冬の夜の散歩から

 ここ2週間くらいは、雨が降っていない限り夕食後に20分ほど散歩しています。 まだ田や道に雪が残っていて、何気なく響いている音が雪に吸い込まれて冬の夜は静かなので 落ち着いた気持ちで散歩ができます。だから、私は冬の夜がとても好きな時間帯です。
 雪は古来より実害を孕む自然の厳しさとして恐れられてきた反面、その天から落ちてくる白い綿のような 幻想的な光景に美しさを見出されてきたものかと個人的には思うのですが、要は雪とは好悪や善悪や美醜のような 二律背反を含む複雑な自然現象として面白いなと思います。私はゴシックメタルが好きなのですが、それも美しい女声のソプラノに対して 男声のデスボイスといった美醜の相克に魅力を感じている為と考えており、雪が好きなのもそういう側面があるのかもしれないです。(実害は無いに越したことはないですが)
 積雪の面を見れば色々と思うものがあります。白い肌、アイスクリームの表面、足跡を見れば白い絹の上に現れた拙い黒糸の並み縫い。冬眠、農閑期、交通機能の麻痺、 雪に閉ざされた時期は私にとって静寂の象徴であり感受性が増す時期のような気がしています。ちなみに関係はありませんが、北欧諸国はメタルが盛んで自殺率が高いらしいです。 あとメタルが盛んな地域の幸福率は高いらしいです。矛盾してますね。そもそも幸福の定義は人に依ると思うのであまり判断はできないですね。個人としては、雪に閉ざされて家に籠ることが多くなり 内省的になることが自殺率に寄与しており、感情を自由に表現することが幸福に関係しているのかなと思うのですが実際は知りません。
 さて、散歩してて内省的になった結果、私の中にも詩のような感覚が生まれました。個人的にはこの季節を醜ではなく美の象徴として受け取りたいなあと思います。 子供の頃の白雪に対する憧れを見ていたいなあと思います。他者の悲劇を思うと、雪の残酷さについても忘れてはいけないのですが。

雪の跡


夜の底にたまった深雪へ
拙い並み縫いをして
夕食の後の静かな住宅街のほとりを
独り白い息を吐く時
融けて積もる連環の果てしなさが
失われる足跡には大きく
生活と星の運行と私の歩行は
一万の中の一と知り
返し縫いをするほか無いと知る

雪の縫い跡には誰かの行き先
この人は何を紡ぐのか
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